【資格】NC旋盤時代は不要だった「玉掛け・クレーン」。3日で取れるけど、責任は「トン単位」で重かった話
こんにちは、カカ助です。
製造業への転職を考えた時、求人票で必ず見る言葉があります。
「玉掛け(たまかけ)・クレーン 必須」
私はNC旋盤を9年やっていましたが、扱っていたのは手のひらサイズの部品がメイン。
素材も数キロ程度だったので、全部「手」でセットしていました。
しかし、鉄骨鍛冶の世界に来て、最初に突きつけられた現実。
「ここでは、人間の筋力なんて無意味だ」
今回は、未経験から鉄骨工場に入り、最初に取得させられた「玉掛け・クレーン」の資格と、その実務の怖さについてお話しします。
1. 「手で持てない」という無力感
NC旋盤時代、仕事が遅れる原因は「プログラムミス」か「段取り不足」でした。
自分の手さえ動かせば、なんとかなる世界です。
しかし、鉄骨工場では違います。
目の前にあるH形鋼は、長さ10メートル、重さは数百キロ〜数トン。
どんなに急いでいても、クレーンを使わないと1ミリも動かせません。
「クレーンが空いていないと、仕事が止まる」
「資格がないと、そのクレーンすら触れない」
転職初日、私は工場の隅で立ち尽くすしかありませんでした。
「あ、俺、ここでは何もできないんだ」と痛感した瞬間です。
2. 講習は「眠気」との戦い、実務は「震え」との戦い
会社に入ってすぐ、教習所へ「玉掛け技能講習」と「クレーン運転士(特別教育)」に行かせてもらいました。
正直に言います。
資格を取るだけなら、めちゃくちゃ簡単です。
3日間ほど座学を聞いて、少し実技をやれば誰でも合格できます(居眠りさえしなければ)。
「なんだ、楽勝じゃん」
そう思って現場に戻り、初めて先輩の前で巨大な鉄骨を吊った時、手が震えました。
- ワイヤーのかけ方は合っているか?
- 重心はズレていないか?
- 吊り上げた瞬間、鉄骨が回転して自分に激突しないか?
講習で習った「質量(重さ)」の計算なんて吹き飛びます。
「もしワイヤーが切れたら、下にいる人は即死する」
そのプレッシャーは、NC旋盤の「寸法ミス」の比ではありませんでした。
3. 工場で一番恥ずかしかった「指差呼称」
クレーン作業には、必ずやらなければいけない儀式があります。
「指差呼称(しさこしょう)」です。
周囲を確認して、大きな声で「フックよし!」「ワイヤーよし!」「退避よし!」と叫ぶあれです。
静かなNC旋盤工場で育った私にとって、これが最初は恥ずかしくて仕方ありませんでした。
「一人で何叫んでるんだ…」と。
でも、現場では「声を出さない奴=一番危ない奴」です。
クレーンは音が静かに近づいてくる凶器になり得ます。
周りの職人に「今から動かすぞ!」と知らせるために、腹から声を出す。
今では、スーパーで買い物カゴを持つ時も「ヨシ!」と言いそうになるくらい染み付きました(笑)。
まとめ:資格は「免許」ではなく「覚悟」
これから製造業、特に重量物を扱う現場へ行く方は、間違いなくこの資格を取ることになります。
「講習なんてダルいな」と思うかもしれませんが、現場に出た瞬間、その資格証の重みが分かります。
NC旋盤は「ミクロン(精度)」を削る仕事。
鉄骨鍛冶は「トン(重量)」を操る仕事。
同じ工場勤務でも、背負うリスクの種類が全然違います。
もし資格を取る機会があったら、講習中の「事故事例」のビデオだけはしっかり見ておいてください。
あれ、現場に出ると笑えなくなりますから…。

